エンジンチューニングとは

エンジンチューニングとは燃焼効率の向上による、出力の向上と燃料消費率の向上を目的とし、エンジン本体、制御系の改善を行うことです。

10人10色と言うのがカスタムを行いたいユーザーの気持ちですね。なのでそれら要望に叶う最適な手法でチューニングを施せば、無理の無い
ユーザーの希望に合った良いチューニングが出来るのですね。

ここで出てくる 燃料消費率とは一時間にどれだけ燃料が燃えるか?をグラムで表したもので、単位はgps/h となります。
チューニングしたのは良いが、燃費が悪くなった・・よく聞く話だと思いませんか?実はその裏に隠れた実際とはこの燃料消費率の悪化が第一に挙げられますね。各回転数、各負荷で最適な燃料消費率になっているか??が問題になってきますね。



naga1234.gif (160773 バイト)   nagaokacd9a.jpg (103201 バイト)

4G63のチューニングを題材としてプロの目で見、また考えを日記形式で公開しました。

Nagaoka Evo1 spec Tomei2.2l Hks In264Ex272 Camshaft Gt3240Turbine Hks FconVprover.2.0etc..


今回のチューニングは700PSオーバーを目標に、燃焼圧力をしっかりと受け止める東名2.2キ

ットを中心に各部品の実力を発揮させるようRTSがプロの目で斬ります

 

このキットのクランクシャフトはバランス率の最適化はもとより、三菱お得意のバランスシャフ

トレスで設計されています。(自分的にはバランスシャフトにより4気筒特有の振動が上手く消されてい

て、嫌いではないけどね。しかしチューンエンジンではトラブルの原因になるんです!)これにより高回

転でのバランスシャフトメタルの損傷、フリクションロス、タイミングベルト歯飛び等のトラブルがなくなり

ます。しかし、いくらSPLパーツだからと言って、妥協を許しません。

確かに良いパーツ・・絶品です。

                                                               

しかーし。まだ 耐久性&パワーを数パーセントでも 引き上げる方法があるはず・・です。

                               

 naga.jpg (81920 バイト)  そして今回決定した加工、ズバリWPC加工です。

クランクピン&アームに処理を施し油膜保持力、表面硬度向上、更にピン部には適度なラッピング

を施し、摺動抵抗軽減を計りました。

そしてこのクランクのオイルギャラリーは遠心力を有効に利用した設計になっています。聞くところ

によれば、4G63のコンロッドメタルは壊きやすい・・とのこと。しかしこのクランクの油穴の加工を見

れば・・壊かないでしょう!

ピストンについて考えました。このキットのピストンは鍛造品です。ピンボスも丈夫そうです。スカート

形状は限りなくラップ形状で、ブローバイガス、出なそうです。

東名のエボ用で最終形状のピストンですが、精度が非常に高く、本来各シリンダーの勘合が必要でした

が、このピストンは勘合が要らない・・つまり・・4個すべて同じ径だったのです!何という精度!

ピストンクリアランスは適正値で70ミクロンと、フリクションロスが心配(適正値だから問題は絶対ないけ

どね)・・そこでフリクションロスを徹底的に減らす事にしました。

ピストン&シリンダーは油膜に守られラップ運動しています。シリンダーにはクロスハッチ加工が施されて

います。RTSでは定番の加工ですがシリンダーボーリング後、プラットホーニングを施します。

naga22.jpg (81920 バイト)

(この細かい傷のような物がクロスハッチです。この溝にオイルが入り込み、油膜を形成し、また、オイル

上がりを防止しています。極端に溝が深いとフリクションロスとなってしまいます。そこで溝の頂点(とんがり

をフラットに落としてやります。これで溝はしっかり残り、摺動抵抗は激減します。ピストン組み込み時にハッ

キリと違いが出ます。加工後はピストンが滑るように挿入されます。加工しないと・・ぎしぎしです!

 

本題に戻りましょう!ピストンにWPC加工の出番です。

 naga27.jpg (81920 バイト)      naga28.jpg (81920 バイト)                         

  加工済みのピストンです・色がチタンっぽい       耐久性か?効率か?今回は耐久性を選択

                                   したピストントップ

 

WPC加工で油膜保持(フリクションロス低減)と耐久性向上を計ります。ピストンスカート部の側圧方

向のヘアライン(ピストンは往復運動の際、側圧方向がシリンダーと接触する事を前提に設計されます

。よってフリクションロスはいかにこの側圧方向のよけいな摩擦を軽減できるかが、今回追加工した

WPC加工です。)は消えていないので、いかにWPC加工がミクロの加工かが分かります。

WPCは各パーツの仕様目的に合ったショットビーズ、ショット圧、時間等で加工精度が決まるそうです。

これでノッキング発生時の耐久性向上、高速回転多用時の摩耗性向上、ピストン剛性向上、等効果

期待大です。

 

クランクキャップボルト 

シリンダーブロッグは2ピースで形成されています。つまり、ブロックとクランクキャップです。

しかしパワーが上がってくるとこのクランクキャップが 緩む ではなく 浮く のです。

何故浮くのか?それはコストパフォーマンス程度の耐久性しかない、キャップボルトの伸びが原因です。

4G63はキャップがラダーとなっており、剛性は非常に高いと思いますが何せ今回のビッグパワー&トル

クを考え、スタッドボルトに変更、しっかりとラダーを固定、メインメタルの耐久性&放熱性&ブロッグ剛性

を引き上げます!

 

 

naga20.jpg (81920 バイト)

装着した状態のクランクキャップボルト整然としてます.

 


6月14日

クランクキャップボルトの効果は前回伝えたのですが、ノーマルボルトで500ps発生のエボのメタル

はこうなっちゃいます。左がキャップが浮き、メタルの座面にオイルが周り、放熱性が低下した物です。

メタルの裏面がオイルが焦げて茶褐色に変色しています。右は新品メタルです。

(左の写真は実はノーマルのコンロッドでのメタルの状態です。メインメタルはこんなにはひどくなりませんが・・・イメージとし

て乗っけました。メインメタルが廃棄処分になっちゃって写真をとれなかったのです。4G63エボ1〜3迄のノーマルコンロッド

大端部&ボルトはやはり変形に対して弱いですね。強化品に限ります。)

nagokametal.jpg (81920 バイト)

 

クランクを組み付けよう! 

nagaokabulogassy.jpg (81920 バイト) このようにキャップ&ラダーASSYがスタッドボルトにより、

しっかりと固定されました。

メタルクリアランスは基準値より少し広めに取ります。これには考えがあって、油圧を上げるならここの

クリアランスは狭く取ります。油量を上げるなら広く取るんです。油圧を上げても油量がないとピン温度が

上昇してしまいます。ここのクリアランスは社外秘ですが・・いずれ相互関係を検討してクリアランスを

決定します。 

それでは、そっとクランクを手で回転させて見ましょう。                 

回転が非常にスムーズ!さすがWPC処理&ラッピングは回転抵抗がありません。

ここで組み付け時に使用したのはワコーズの組み付けペーストです。これはエンジン組み付け時の全て

の潤滑面に使用でき、モリブデンの長所を生かし、更に燃焼せず、蒸発する事によって、後にいやな土産

を残さない、とってもGOODな製品です。

nagaokapaste.jpg (81920 バイト) ワコーズ組み付けペースト        円

 

そしていよいよピストン&コンロッドの組付けです。

nagaokaoino.jpg (81920 バイト) これはピストンピンです。耐久性重視のため肉厚大です。

今回は東名2.2Lキットとしてのパーツで重量変更はしたくない(バランス率の狂いが出る恐れあり)

し、ピストンが軽量な為ピンは重いのですが、このまま使用します。

nagaokapistonassy.jpg (81920 バイト) それにしても4G63のコンロッドは長い!連桿比が高出力

設計です!これが高いとピストンスラストが小さく出来る=機械損失の低減、耐久性の向上等、良いこと

一杯なはずです。強いて言えば、パッケージングが大きくなる事ぐらい?

そして完成したショートブロックです!つのが生えてます。実はヘッドボルトも・・スタッドです!

nagabro.jpg (81920 バイト)    nagaokabrogblue.jpg (81920 バイト) ブロックはブルーに塗装しました

このブロックassyには当店のノウハウがぎっしり詰まってます。

腰下は耐久性 ヘッドはパワー確かにそうですが・・腰下だってパワーを引き上げる要因は有るのです。   

パワーを上げる=ロスを減らす。ロスが減れば壊れなくなる。このチューニングに対する姿勢は非常に

大切だと思います。

次回はいよいよシリンダーヘッドの製作です。   


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